5月31日(水)『まるでいつもの夜みたいに』

高田

高田渡、2005年3月27日、
高円寺の居酒屋での東京ラストライブのドキュメント。
『まるでいつもの夜みたいに』
102席の小さな映画館だから、
ライブ会場の最前列にいるように
高田渡を感じた。

高田渡、自衛隊に入ろう、自転車にのって、
高校生の頃、活字では知ってたけど
聴くこともなく、興味もなく長い間過ごした。
歳とって盆栽に関心が向かうように
晩年になってから聴き込み、惹かれた。
残念ながらタカダワタル的は観てないけど。
TBSのニュース番組だったか、
自宅アパートで筑紫哲也との対談で
どこか小市民的な高田渡が面白かった。

『仕事探し』から始まり『失業手当』『アイスクリーム』
曲の合間のしゃべりに館内の客も笑わされる。
寄席で噺家の小話を聴いてるみたいだ。
なかでも愛犬家どうしの会話があるあるで面白い。
朴訥な語りの中に本音がキラリと光る。
時おり放つ憤りのような
強いピッキングがそれを語っていた。

いつもラストは『生活の柄』で終わるんだけど、
もぉ飽きた。
もっと行き場のない曲でと『夕暮れ』を歌う。
〜自分の場所からはみだしてしまった〜♪
詩がしみる。
このライブの3週間後、
高田渡は旅立った。

ポスター
(2017年_5月31日_横浜シネマリン)




テーマ : 日本映画
ジャンル : 映画

tag : 高田渡

1月17日(火)『ブルーに生まれついて』

ぶるー

とにかくかっこいい。
このチェット・ベイカー役はイーサン・ホーク以外に思い浮かばない。
まさに適役。
映画の中で進行するモノクロームの伝記映画がいい。
できればずっとそっちの方で観たかった。

23、4歳のとき、
新宿西口がまだ空地だらけだった頃
そのどこかでマイルス・デイビスを観た、聴いた。
縁あって前から2番目の席だった。
それがきっかけでジャズを聴くようになった。
あるときジャケ買いしたのが『Chet Baker Sings』
とくにMy Funny Valentineがいい。
…ていうかこれしか知らん。
『リプリー』でもマットディモンが唄うシーンがある。
野毛のある呑み屋の有線でよくかかってた。
雨のしとしと降る夜、囲炉裏のある席で干物を炙りながら
ジャズの音と雨の音を空気にして
日本酒を呑むひとときは至福だった。

で、話を戻すと
人気絶頂の若きチャラ男、
チェット・ベイカーが年を重ね
ウヰスキーが樽の中で熟成していくように
破滅に向かって堕ちていく。それに抗うように
痛々しくペットを吹き続けるかっこいい映画。
再起をかけたライブのシーン、
「BORN TO BE BLUE」のセリフで終わる。
エンドロールまで黒バックに白文字とBLUEだった。
タイトルも原題のまま『BORN TO BE BLUE』でよかったのに。



ジャック
(2017年1月17日_シネマジャック&ベティ)
ブルーに生まれついて



テーマ : 洋画
ジャンル : 映画

tag : チェット・ベイカー My Funny Valentine

11月28日(月)『ある天文学者の恋文』

「エディンバラで待ってる」
亡くなったはずの彼から1通の手紙が届く。

天文学者の彼と、教え子の彼女のラブストーリー。
ホテルの一室での二人のラブラブシーンから話が始まる。
旅立つ彼をホテルの窓から見送った数日後、
大学での授業中、彼から届くいつものメールを読んでいるところへ
その彼が数日前に亡くなっていたことを知らされる。

こいぶみ

突然の訃報に自分を見失っている日々。
手紙のメッセージに誘われるまま、
二人の思い出の地を訪ねていく。
その先々で行動をそばで見てるかのような
彼からのリアルな伝言が次々と送られてくる。
冒頭からのミステリー展開に惹きつけられていく。

マジックは種明かしをしないうちが楽しい。
彼女の立場で謎を解きながら見ていくうちに、
種がだんだん見えてくると
男としては立場が逆転して彼の目線で
彼女をみつめている。

しばらく続くミステリーな展開、
ラストでの温かい幕の引き方など
『ニューシネマパラダイス』『鑑定士と顔のない依頼人』を
手がけた監督らしい流れで楽しめた。

彼を探し訪ねるエディンバラの石畳の街並みがいい。
湖に浮かぶサンジュリオ島の景色がまたいい。

ポスター
(2016年11月28日 シネマ ジャック&ベティ)
ある天文学者の恋文



テーマ : 洋画
ジャンル : 映画

tag : ある天文学者の恋文 ジャック&ベティ

9月23日(金)『ラスト・タンゴ』

ラストタンゴ

「タンゴのために生まれ
 タンゴのためにに死ぬ」
       マリア・ニエベス

御歳82歳、伝説のタンゴダンサー、マリアを軸にした
ドキュメンタリー。
ペアを組んで50年というマリアとファン。
タンゴ界では伝説のタンゴペアと云われてるらしい。
ふだんの生活ぶりは老いて見えても
いざステージに立つと颯爽とした
体のラインで踊る、現役のマリア。
女は強し。
男と女が一騎打ちしてるような
キレのある緊張感。
この映画が女優デビューという
若い頃のマリア役の女優もよかった。
ヴィム・ヴェンダース製作総指揮ということで
どこか『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ 』を彷彿させる。
見終わった後も頭の中をバンドネオンのメロディが流れる。

30年くらい前にちょっとしたタンゴブームのような時があった。
アルゼンチンから来日したタンゴチームを新宿の厚生年金ホールで観た。
その中にマリアとファンがいたかどうかはわからない。




タンゴ
(2016年9月23日 シネマ ジャック&ベティ)
ラスト・タンゴ

ジャック&ベティともにシートが一新されて
体が包まれるような心地よさで、背もたれも高くなり
座高の高い自分としてはありがたい。
姿勢を何度も変えることなく
ゆったりと映画が愉しめるようになった。

テーマ : 洋画
ジャンル : 映画

tag : ラストタンゴ

6月30日(木)『或る終焉』

あるしゅうえん

ポスターから受ける印象で、
最初の患者サラとの心の交流が
この映画の主軸になるのかと想像していたら
あっという間にサラはいなくなり、
つぎの患者との話しになった。

これが介護の現実なのかと思わせる
ドキュメンタリー的な生々しいシーンを見せられる。
現実はもっと深刻なのかもしれないけど。
看護師デヴィッド(ティム・ロス)が
黙々と仕事をこなしていく。
孤独に思い悩む間、患者と寡黙に過ごす間、
その沈黙の間が、この映画に厚みをもたせている。
油断してると見逃してしまう、
不意打ちをくらうような予想もしない結末。
それも一つの終焉か。


あるポスター
(2016年6月30日 Bunkamura ル・シネマ1)
或る終焉











テーマ : 洋画
ジャンル : 映画

tag : 或る終焉

6月9日(木)『オマールの壁』

オマール

立ちはだかる不幸の壁。
1本のロープで壁を這い上がる主人公オマール
友人、彼女に会うために
壁を越えて行き来する日々。
この1本のロープが絆の象徴になってる。

生きるために友を裏切るのか。
生易しい友情論なんてどこにも入る余地のない
自由なんて言葉すら意味をもたないパレスチナの現実。
安穏と生きてる自分には想像できない。
最後までドキュメンタリーを観てるような緊張感が続く。

嘘をつくことってかなりのエネルギーがいる。
嘘を貫き通すためにさらに嘘を重ねていくことになる。
最後、オマールにとって
赦しがたい哀しい嘘を知り
おとしまえをつける。




かんばん
(2016年6月9日_シネマジャック&ベティ
『オマールの壁』



テーマ : 洋画
ジャンル : 映画

tag : オマールの壁 シネマジャック&ベティ

6月8日(水)『グランドフィナーレ』

ふぃなーれ

人生の幕をどう引くか。
ときどき妄想しながら
考える歳になった。

朝、小便が勢いよく出た出ないで
喜び笑い合う歳になった永いつきあいの
音楽家/フレッドと映画プロデューサー/ミック。
朝勃ちも久しくなくなった男二人が
昔の女を語り合う。
歳食っても男同士の話題は変わらない。

「なんだ?」
「神だ」

大浴場でくつろいでるところへ
宿泊客の女がやってくる。
その裸体を見た二人の会話。
生きててよかった、
男に生まれてよかったと
思わせるシーン。

ミックを往年の女優が訪ねてくる。
なんと、ジェーンフォンダ姐さん、生きてたのか…。
濃厚メイクで存在感たっぷりの
大阪のオバちゃん的な登場。
あの『世にも怪奇な物語』で魅せた
颯爽とした騎士の姿には
日本の女優にない強烈なセクシーさを感じた。
当時、中学生。

シーンのほとんどが
アルプスを望む高級リゾートホテル。
自然の光、風の音、流れる音楽、
観てるこちらまでもそこに滞在してる気分になる。
そこでの流れる時間が心地よかった。


はんけん
(2016年6月8日 Bunkamura ル・シネマ1)
『グランドフィナーレ』








テーマ : 洋画
ジャンル : 映画

5月29日(日)『すれ違いのダイアリー』

すれちがい

電気も水道もない、
ケータイも届かない、
そんなタイの僻地。
湖上に浮かぶ筏のような水上小学校が舞台。
一冊の日記をきっかけにドラマが始まる。

ここに赴任した出会うはずのない
前任の女教師と後任の男教師。
ひとつの空間で時間軸の違う
ふたつのドラマが同時に進行していく。

見知らぬ同士の
男と女が好いて惚れて
歯がゆいくらいにすれ違いながらも
想いをつのらせ、妄想していく、
ワクワクドキドキ感。
恋愛の過程でいちばんおいしい時間。

。。。。。。。
現実はここをピークにして
気がつかないくらいの
ゆる~い下降線をたどりながら
日常になっていくんだなぁ〜。
ときに、一気に転げ落ちることもあるけど。
。。。。。。。


大都会ニューヨークを舞台の
『ユー・ガット・メール』もいいけど
タイのへんぴな田舎の湖上に浮かぶ
水上小学校のロケーションがいい。
メールじゃなく手書きの日記がいい。
ちょっと風吹ジュン似の女教師が
可愛くていい。
男教師がイケメンじゃないのもいい。
つい応援してしまう。



ダイアリー看板
(2016年5月29日 シネマ ジャック&ベティ)
すれ違いのダイアリー



テーマ : アジア映画
ジャンル : 映画

tag : すれ違いのダイアリー

4月30日(土)『孤独のススメ』

こどくのすすめ

メインビジュアルの
電車の中に男が佇む絵と
『孤独のススメ』そのタイトルにひかれた。
ジャケ買い。

いつもの時刻キッカリに食事を摂り
いつものバスに乗る。
そしていつもの道を歩く。
自分の決めごとに縛られてることで
希望のない平穏を感じていた主人公。
ひょんなことから得体の知れない男と
共同生活することになる。

はじめ想像していた内容からは
どんどんかけ離れ、
わけの分からん方向へ話しは進む。
なかなか受け入れがたい
すっとぼけた展開が続き
えっ、ついにそこ…、
どうやって決着をつけるんだろう…と
最後まで飽きさせなかったけど。

(2016年4月30日_シネマ ジャック&ベティ)
『孤独のススメ』





テーマ : 洋画
ジャンル : 映画

5月2日(月)『さざなみ』シャーロット・ランプリング

さざなみ02

嫉妬。
女ヘンがふたつ。

夫の50年も前の恋人の存在に
ゆれる妻、シャルロットランプリングが
タバコを吸うシーンがカッコいい。
元々、モデルだけあって
首から背中、脚線にかけてのラインが美しい。
『愛の嵐』『スイミングプール(57歳)』で魅せたエロス健在。
70にして、セクシーさ衰えず。
ラストシーンでダンスを終えて
つないでた夫の手を
邪険に振り払うシーンには笑った。
この温度差、岩をも通すか。

主人公の夫と同様、私も20代の頃、
仲良くさせていただいた女子の写真は
大切にどこかの引き出しの奥にしまっています。


ベティ
(4月16日 シネマ・ジャック&ベティ)
『さざなみ』



テーマ : 洋画
ジャンル : 映画

tag : ジャック&ベティ さざなみ

自己紹介

ともぞう(いけだふみのり)

Author:ともぞう(いけだふみのり)
横浜野毛と渋谷のんべい横丁を
ホームグランドとして酒場スケッチしています。

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