男はつらいよ第15作『寅次郎相合い傘』

男はつらいよ』シリーズの中でもこの第15作は濃い。
いくつもの見せ場がある。
第11作『 寅次郎忘れな草 』で出会った歌手のリリー
2年ぶりに函館の屋台で再会し
謙次郎(船越英二)との三人で珍道中から話が始まる。
kaigan
沈む夕陽をバックに海岸ではしゃぐ。
かつての青春ドラマを彷彿させる。

駅舎
あり金はたいて呑み食いしたあと
駅舎で一夜を過ごし、朝を迎える。
鉢巻しめてウォーミングアップの寅さん
パジャマ姿で歯を磨く謙次郎、
ブラシで髪をとかすリリー
それぞれの身支度に日常感が出ている。
函館本線の木造駅舎がいい。

札幌
札幌大通り公園で三人がひと芝居うつ。
勤めていた万年筆工場から
退職金代わりにもらった万年筆を売る男を謙次郎。
それを知って同情する夫婦が寅さんリリー
三人の役者ぶりに笑わされる。

荷馬車
北海道らしい
どこまでも続く青い空、
遠くまで見渡せるのどかな風景の中、
荷馬車にゆられてのんびりと進む。


otaru
謙次郎が30年の時を経て
小樽に住む初恋の人(信子)を訪ねる。
やっとみつけた信子の営む喫茶店へ入るも
一瞥もしない信子にいたたまれなくなり店を出る。
店に忘れたカバンを取りに戻ると…。


ステージ
リリーを不憫に思った寅さん
リリー夢の舞台をとらやのみんなに身ぶり手ぶりで語り、歌う。
思わずみんながリリーを思い浮かべてうっとり聴き入る。
ひとしきり話し終えて背中を向けた寅さんが呟く。
「いくら気の強いあいつだって、きっと泣くよ」
その寅さんの背中に、泣かされる。

「宣伝します。」。。。。。。。
寅さんが好きで、鉄道もそこそこ好きで、
縁あって挿絵が2点掲載されています。

表1

旅と鉄道2018年増刊4月号
寅さんの鉄道旅 人情と聖地巡礼編


傘

傘
とらやでの団らん、
いつものように騒動が起こる。
リリーと今作中、2回目の大喧嘩。
マドンナをこれだけ罵り、大喧嘩したのはリリーだけ。
その日の夜、降り出した雨の中、
さくらに促されて素直になれないまま、
リリーを柴又駅まで迎えにいく寅さん。
相合い傘で商店街を歩きながらまったりと仲直り。
第15作のクライマックス。

ホームを歩く

駅

テーマ : 日本映画
ジャンル : 映画

tag : 男はつらいよ 寅さん リリー 柴又

男はつらいよ 第11作『 寅次郎忘れな草 』

網走に向かう夜汽車の中、
車窓を眺めながら
泣いてるひとりの女がいた。
マドンナとして4回出演することになる
リリー(浅丘ルリ子)の初めての登場シーン。

なにか同じ匂いのようなものを感じ合う二人が
波止場で語りあう。
ポンポンポンポンと音を立ててゆく父ちゃんの船を
家族が見送っている。
二人には無縁のような家族の温かいシーンを眺めている。
(ここで流れる♪リリーのテーマ♪がせつない。)

リリー:私達みたいみたいな生活ってさ…、
    あってもなくてもどうでもいいみたいな…

    アブクみたいなもんだね…
寅さん:うん、…風呂の中でこいた屁じゃないけど
    背中へ回ってパチン!だ

網走の波止場
二人に共通する
はぐれ雲のような自由さと、
それに見合う孤独感。
少ない言葉のやりとりで
お互いがそれを理解し合う。

リリー「いま何時?」
寅さんの腕をとり時計をみて立ち上がるリリー
ここに二人の親密さがある。

リリー「じゃあ、また、どっかで会おう」
寅さん「ああ、日本のどっかでな!」
いつかまた会えそうな予感を残しての
別れのシーン。

テーマ : 邦画
ジャンル : 映画

tag : 男はつらいよ リリー

男はつらいよ第29作 『寅次郎あじさいの恋』

登場するマドンナのうち何人かは
寅さんにひかれながらも、思い叶わず
結果、寅さんがふられたこととして
話しが終わることもある。

その一人、かがり(いしだあゆみ)。
ふとした縁で寅さんが
京都の陶芸家(片岡仁左衛門)と知り合う。
そこで手伝いをしていたかがり、
かつて恋仲だった弟子にふられて
京都は伊根の実家に帰った。

伊根
(昭和57年/1982年8月公開)
そんなかがりを気遣い
実家を訪ねる寅さん。
「…誰を恨むってわけには
 いかなねえんだよね、こういうことは…」
船屋のあるのどかな伊根の海を見ながらの
語り合うシーンがいい。

この「寅次郎あじさいの恋」は
後半は喜劇じゃなくシリアスに展開していく。
とくに伊根での一夜は
男はつらいよシリーズの中でもめずらしく
マドンナが寅さんに生っぽく迫る。

かがりとは、ここ伊根での別れ、
江ノ島での別れと二度の別れをすることになる。

せつなく響く♪かがりのテーマ(マンドリンの音)がいい。

ラストシーンの寅さんが彦根で啖呵売をしてるところで
陶芸家との再会シーンもいい。
寅さんが瀬戸物を片手に
陶芸家の名前を持ち出し
どうだと云わんばかりに
寅さん:あ〜やけくそ!1万でどうだ!
陶芸家:買うた!ちょっと高うないか。
片岡仁左衛門の柔らかい関西弁がいい。
ほっと和ませるラストシーン。






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男はつらいよ第28作 『寅次郎紙風船』

この柴又駅での別れがいくつかある中、
これほど切ないシーンはない。

「俺が死んだら、女房を嫁にしてやってくれ」
テキ屋仲間が遺した言葉。
未亡人となった光枝(音無美紀子)に
すっかり本気で結婚モードになってる寅さん。
『とらや』を訪ねてきた光枝を柴又駅まで送る。
亭主から「もしオレが死んだら、寅の女房になれ…」と
云われたけど
「寅さん、約束したの?本気で」と光枝が訊く。
ここに迷いの間がある。
「…適当に相づち打ったのよ」とぼけた寅さんの応えに、
目線を落とし、小さく頷いて
「じゃあよかった… ごめんね…」と
安堵と落胆が入り交じったような表情の光枝。
この流れに身を任せるのもいいかという思いが
光枝の中に芽生えてたようにも見えた。
(ここで流れる、♪光枝のテーマがいい)
光枝「じゃ、さよなら」
寅さん「うん、気をつけてな」

紙風船
(昭和56年/1981年12月公開)

「正月は、どこで稼ぐの?」
駅に向かう光江が振り向きたずねる。
寅さん「…伊豆か、駿河あたりか…」
光枝「…しっかり稼いでね」
あまりにも切ない別れの空気がかき消された。

状況を受け入れて光枝を見送る男、
寅さんの眼差しがいい。

。。。。。。。。。。。。。
【絶好のロケーション/沖端漁港
gyokou
(旅の道中、寅さんに置いてきぼりにされて泣きわめく愛子/岸本加世子)
この第28作/寅次郎紙風船で初めて知った
秋月の町がいい。沖端漁港がいい。
観光絵ハガキには出てこない
日本の原風景に出会えるのが
寅さんシリーズの醍醐味だ。





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tag : 男はつらいよ 沖端漁港 秋月

男はつらいよ 第6作『 純情編 』

土曜の夜は『アド街ック天国』と
この『男はつらいよ』を観る。

ローカル線の旧い駅舎、蒸気機関車、
赤い公衆電話、たばこ屋の看板、
大きな包みを背負った物売りのおばさん、
いろんな昭和のシーン満載の『男はつらいよ』を
観ながら、家吞みするひとときがいい。

柴又駅の別れ

いつものように一悶着あって
トランクを提げてとらやを去っていく寅さん。
商店街に冷たい夜風が吹く中、その背中を追うさくら。

柴又駅のホームで兄妹が幼い頃の昔話をして
さくら:「…せめてお正月まで居たっていいじゃない」
寅さん:「俺たちの稼業はよぉ
     世間の人が炬燵にあたってテレビをみてるときに
     冷てぇ風に吹かれて鼻水たらして声をからして
     物を売らなきゃならねぇ稼業なんだ…」

電車のドア
電車に乗り込む寅さんに自分のマフラーをかけて云う
さくら:「つらいことがあったら
     いつでも帰っておいでね」
寅さん:「…そんな考えだから俺はいつまでも一人前に…
     故郷ってやつはよ…、故郷ってやつはよ…」
と言いかけたところでドアが閉まり
寅さんの言葉を聞き取れないまま見送るさくら。
ホームで見送るさくら

柴又駅のホームで
寅さんとさくらの別れ、
寅さんシリーズで一番好きなシーンです。


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自己紹介

ともぞう(いけだふみのり)

Author:ともぞう(いけだふみのり)
1本のエンピツと
紙きれがあれば、
人を描く。

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