男はつらいよ 第11作『 寅次郎忘れな草 』

網走に向かう夜汽車の中、
車窓から外を眺めながら
泣いてるひとりの女がいた。
マドンナとして4回登場することになる
浅丘ルリ子演じるリリーの初めての場面。

なにか同じ匂いのようなものを感じ合う二人が
波止場で語りあう。
ポンポンポンポンと音を立ててゆくお父さんの船を
家族が見送っている。
二人には無縁のような家族の温かいシーンを眺めている。
(ここで流れる♪リリーのテーマ♪がせつない。)

リリー:私達みたいみたいな生活ってさ…、
    あってもなくてもどうでもいいみたいな…

    アブクみたいなもんだね…
寅さん:うん、…風呂の中でこいた屁じゃないけど
    背中へ回ってパチン!だ

網走の波止場
二人に共通する
はぐれ雲のような自由さと、
それに見合う孤独感。
少ない言葉のやりとりで
お互いがそれを理解し合う。

「そろそろ商売にかかんなくちゃ…」と
寅さんの腕時計をみて立ち上がるリリー。
リリー:じゃあ、また、どっかで会おう
寅さん:ああ、日本のどっかでな!
いつかまた会えそうな予感を残しての
別れのシーン。


テーマ : 邦画
ジャンル : 映画

男はつらいよ第29作 『寅次郎あじさいの恋』


登場するマドンナのうち何人かは
寅さんにひかれながらも、思い叶わず
結果、寅さんがふられたこととして
話しが終わることもある。

その一人、かがり(いしだあゆみ)。
ふとした縁で寅さんが
京都の陶芸家(片岡仁左衛門)と知り合う。
そこで手伝いをしていたかがり、
かつて恋仲だった弟子にふられて
京都は伊根の実家に帰った。

伊根
(昭和57年/1982年8月公開)
そんなかがりを気遣い
実家を訪ねる寅さん。
「…誰を恨むってわけには
 いかなねえんだよね、こういうことは…」
船屋のあるのどかな伊根の海を見ながらの
語り合うシーンがいい。

この「寅次郎あじさいの恋」は
後半は喜劇じゃなくシリアスに展開していく。
とくに伊根での一夜は
男はつらいよシリーズの中でもめずらしく
マドンナが寅さんに生っぽく迫る。

かがりとは、ここ伊根での別れ、
江ノ島での別れと二度の別れをすることになる。

せつなく響く♪かがりのテーマ(マンドリンの音)がいい。

ラストシーンの寅さんが彦根で啖呵売をしてるところで
陶芸家との再会シーンもいい。
寅さんが瀬戸物を片手に
陶芸家の名前を持ち出し
どうだと云わんばかりに
寅さん:あ〜やけくそ!1万でどうだ!
陶芸家:買うた!ちょっと高うないか。
片岡仁左衛門の柔らかい関西弁がいい。
ほっと和ませるラストシーン。






テーマ : 邦画
ジャンル : 映画

tag : 寅次郎あじさいの恋

男はつらいよ第28作 『寅次郎紙風船』

この柴又駅での別れがいくつかある中、
これほど切ないシーンはない。

「俺が死んだら、女房を嫁にしてやってくれ」
テキ屋仲間が遺した言葉。
未亡人となった光枝(音無美紀子)に
すっかり本気で結婚モードになってる寅さん。
『とらや』を訪ねてきた光枝を柴又駅まで送る。
亭主から「もしオレが死んだら、寅の女房になれ…」と
云われたけど
「寅さん、約束したの?本気で」と光枝が訊く。
ここに迷いの間がある。
「…適当に相づち打ったのよ」とぼけた寅さんの応えに、
目線を落とし、小さく頷いて
「じゃあよかった… ごめんね…」と
安堵と落胆が入り交じったような表情の光枝。
この流れに身を任せるのもいいかという思いが
光枝の中に芽生えてたようにも見えた。
(ここで流れる、♪光枝のテーマがいい)
光枝「じゃ、さよなら」
寅さん「うん、気をつけてな」

紙風船
(昭和56年/1981年12月公開)

「正月は、どこで稼ぐの?」
駅に向かう光江が振り向きたずねる。
寅さん「…伊豆か、駿河あたりか…」
光枝「…しっかり稼いでね」
あまりにも切ない別れの空気がかき消された。

状況を受け入れて光枝を見送る男、
寅さんの眼差しがいい。

●大字夜明久大本線 夜明駅
●杷木町
●甘木市 秋月
この映画で初めて知った
九州の田舎の風景がまた良かった。




テーマ : 邦画
ジャンル : 映画

tag : 男はつらいよ

男はつらいよ 第6作『 純情編 』

土曜の夜は『アド街ック天国』と
この『男はつらいよ』を観る。

ローカル線の旧い駅舎、蒸気機関車、
赤い公衆電話、たばこ屋の看板、
大きな包みを背負った物売りのおばさん、
いろんな昭和のシーン満載の『男はつらいよ』を
観ながら、家吞みするひとときがいい。

ベンチで話すシーン
いつものように一悶着あって
トランクを提げてとらやを去っていく寅さん。
商店街に冷たい夜風が吹く中、その背中を追うさくら。

柴又駅のホームで兄妹が幼い頃の昔話をして
さくら:「…せめてお正月まで居たっていいじゃない」
寅さん:「俺たちの稼業はよぉ
     世間の人が炬燵にあたってテレビをみてるときに
     冷てぇ風に吹かれて鼻水たらして声をからして
     物を売らなきゃならねぇ稼業なんだ…」

電車のドア
電車に乗り込む寅さんに自分のマフラーをかけて云う
さくら:「つらいことがあったら
     いつでも帰っておいでね」
寅さん:「…そんな考えだから俺はいつまでも一人前に…
     故郷ってやつはよ…、故郷ってやつはよ…」
と言いかけたところでドアが閉まり
寅さんの言葉を聞き取れないまま見送るさくら。
ホームで見送るさくら

柴又駅のホームで
寅さんとさくらの別れ、
寅さんシリーズで一番好きなシーンです。


テーマ : 邦画
ジャンル : 映画

tag : 男はつらいよ

自己紹介

ともぞう(いけだふみのり)

Author:ともぞう(いけだふみのり)
横浜『野毛』と渋谷『のんべい横丁』を
ホームグランドとして
のんべいな日々をスケッチしてます。

いままでの日記
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

ブログ内検索
リンク
Thanks