男はつらいよ第39作『寅次郎物語』

(スケッチ:関東鉄道常総線 中妻駅)
オープニングは、
ローカル線の駅のベンチで目覚める寅さん

一人の少年が柴又に寅さんを訪ねてくる。
亡くなったテキ屋仲間が
寅さんに託した男の子、秀吉。
そこから二人で幼い頃に家を出た
秀吉の母親探しの旅に。
大阪から和歌山、奈良、伊勢へ。

道中、奈良の宿で知り合うのが
今作のマドンナ、秋吉久美子(隆子)。
秀吉が熱を出して寝込んだことがきっかけで
寅さんと隆子が、父さん、母さんと
呼び合う家族のような仲になる。


やまとかみいち
「母さんもよ、今度会うときは
 もっと幸せになってるんだぞ」
いっとき、ほんとの奥さんだったら…
という思いを抱いた隆子に寅さんが言う。
電車が見えなくなるまで
隆子が手を振り見送る。
マドンナとのいろんな別れがある中で
この大和上市駅でのシーンはとくにせつない。

かしこじま
(賢島の港で秀吉と寅さんの別れ)

やっとの思いで
伊勢の賢島にたどり着き
秀吉と母(五月みどり)との対面が叶う。
それは二人の旅の終わりでもある。
どこか、西部劇シェーンのラストシーンを思い出す。

(スケッチ:とらやでのさくらとの別れ)
とらやで一息つき、暮れに向けてひと稼ぎ、
旅に立とうとする寅さんがさくらに言う。
「働くってのは…額に汗して
真っ黒になって働くこというんだよ」
「俺たちは口から出まかせ、
インチキくさいものを売ってよ…
おまんまいただいてんだよ」
しばまた
「人間はなんのために生きてるのかな…」
柴又駅まで見送りにきた満男が
寅さんに尋ねる。
「生まれてきてよかったなって
 思えることがあるじゃねぇか」
「そのために生きてきたんじゃないのか」

今作の寅さん、破天荒でヤンチャな面はなく
すっかり人格者の域に達している。


(1987年昭和62年 12月公開)
第39作 マドンナ 秋吉久美子



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いけだふみのり(池田史典)

Author:いけだふみのり(池田史典)
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