渋谷のんべい横丁 やす子ママ

オシャレだけど派手じゃない、地味。
夢二の絵のような大人しい女かと思えば
お茶目で、わがままで、ときにワイルドで、
「…だから乙女座のA型はきらいッ」と言い放ったり
こちらもそこにムカついて、言い合ったりと、
そこが可愛いい人だった。

最期の日、友人代表が送った別れの言葉
「母であり、姉であり、娘であった」

「私は呑み屋に向いてない」と
お酒の吞めない、やす子ママは云ってた。
この引っこみたがりーで、
プロっぽくないとこが心地よくて通った。

しすい
(真ん中のスケッチはブログスケッチを始めた頃、ママに15秒だけじっとしててと頼んで描いた。10年前のこと)

「長生きなんかしたくない」
「死ぬときはだれにも知られずひっそりと逝きたい」
「生まれ変わったらフィギュアスケーターになりたい」
日々、口癖のように云ってたやす子ママ。

4月のある日、その願いのひとつが叶った。
まさかそんな日がほんとに来るとは
想像もできなかった。
いまだに、いないという実感がない。
吞んでるところへ、ガラッと戸を開けて
「冗談よッ、ごめんね〜」
ニコニコしながら入ってきそうな気がする。

晴れわたった空に
桜の花びらが舞う日、
いつもの顔、懐かしい顔、
ママの店に通った仲間たち100人くらいが一同に集まった。

最後のお別れのとき
このところの病室での
苦しそうだった表情とは違って
好きだった白い菊の花に囲まれて
おだやかに眠るママの顔を見てほっとした。
(ママ、よかったね)
口には出せなかったけど。
哀しくて、あったかいお別れ会だった。

7人、8人がやっと座れる
2坪の空間で過ごした20年という時間、
その間そこで知り合った人々
自分にとって生涯忘れることのない財産になった。
すべてママがいたからこそです。

。。。。。。。。。。。。。。

「私が死んだら泣いてくれる?」
「たぶん泣くんじゃない…ただ俺、涙でないんだなぁ…」
「ママは〜長生きして、俺たちみんなの骨を拾うの…」
「やだぁ〜、早く死にたい…」
一年くらい前のママとの会話を思い出した。





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ジャンル : 日記

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こんにちは。

これぞ酒呑みにしか判らない、ぐっとくるお話しですね。
きっと、皆さんに甘えられた佳きママさんだったのでしょう。
声まで伝わってくるような、たまらない文章でした。

私も東銀座の裏通りにあった、小さな酒場を思い出しました。
?10年前すでに60歳超していただろう、女姉妹で賄っていた小料理屋さん。
それから15年目のことだったか、妹さんのほうが先に亡くなり、
本願寺の葬儀にはD通や日刊スポーツなどを始め、
常連さんが大勢、別れを惜しみにきたものです。

お姉さんは気落ちしたのでしょう、それ以来店は閉じたきりになりました。
姉妹ともちゃきちゃきの江戸っ子で、よく叱られたものです。

嬉しい叱られ方でしたが・・・(笑

酒場というのは、そこの酒やつまみに集まるのではなく、
亭主や女将の人柄が美味しくて集まるのだということ、改めて得心しました。

良いお話しを、有難うございました。

Re: こんにちは。

コメントありがとうございます。

灯りのついてない店の前を
通りたくなくて横丁を敬遠することもありましたが
とりあえず常連のメンバーが
灯を絶やすことなく支えています。


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ともぞう(いけだふみのり)

Author:ともぞう(いけだふみのり)
横浜野毛と渋谷のんべい横丁を
ホームグランドとして酒場スケッチしています。

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